日本の文化や歴史を大切にする
郷土人形館
明窓園ギャラリー



女のまつり
2004年2月16日〜23日開催
山本恵由美さん
責任者 山本恵由美さん


郷土人形館 明窓園ギャラリー6年間のあしあと


「女のまつり・おとなが楽しむお雛様展」が開かれている「郷土人形館・明窓園ギャラリー」を訪れた。
山本恵由美さんはギャラリーの責任者で、開設以来6年間、郷土人形展の開催にひたすら打ち込んできている。そのあしあとについて伺った。

ギャラリー風景
ギャラリー風景

茶室
創作雛などが展示されている日本間


◆明窓園ギャラリーは、思いがけない場所にあった。呉駅から車で5分、徒歩で15分のところにあるクリニックの5Fである。(下図)
 会場に入ると、おびただしい数のお雛様に驚く。華やかで落ちついた雰囲気のある会場だ。お雛様のような趣のある山本恵由美さんに案内してもらった。


 展示品の中には価格のついているものもあり、購入する人もいた。
「価格のついているものは、全国の郷土人形作家が出展されたものです。値段のついていないものは、当ギャラリーのコレクションで販売していません」と、山本さんが説明する。


 90坪もある広々とした展示場の奥には日本間があり、呉市に在住する糸島宝舟さんの創作雛など(古い着物を材料にして仕上げたもの)が展示されていた。
 その他、喫茶コーナーもあり、あっという間に1時間が経過した。


◆明窓園ギャラリーが設立されたのは、平成10年5月のことである。
 その前の年、山本さんは全国ボランテイア研修会に参加した。そのとき、彼女は目からうろこの落ちる思いがした。フィランソロピー(企業の社会貢献活動)の重要性に目覚めたのである。
 勤務先の(有)創医社に帰ると、さっそく企業貢献の重要性を報告した。岡田啓成社長はこれに関心を示し、「2000点くらいある人形の展示会を開いたら、地域貢献につながるのではないか」と言った。


 山本さんは語る。
「人形は、岡田社長のお母さんと奥さんが集められたものです。それからギャラリー開設の準備にかかりました。ところが、思わぬアクシデントが待ち受けており、平成10年2月にプレオープンした直後の4月8日、岡田社長が肝臓ガンで倒れられたんです。それも手遅れで、余命幾ばくもないということでした。社長は元呉共済病院長ですから、自分の病気のことについて、よくわかっていらっしゃったと思います」


 社長が倒れたのだからギャラリーの開設は止めるべきだという意見もあったが、山本さんは社長の意思を実現すべきと説得、5月10日にオープンすることになった。
「5月10日、ギャラリーがオープンしたとき、社長は意識不明でした。ところが、耳元で報告すると頷かれたんです。その夕方、奇跡が起きました。主治医はもう昏睡から醒めることはないだろうと言っていたのに、目が醒め、明日、ギャラリーに行くと言われたんです。それから、介添えしている人に、一晩中話しかけてくれるよう頼まれました。眠ったらおしまいだからです」

明窓園
明窓園5F


アクセス

郷土人形館 明窓園ギャラリー
呉市本通6丁目2−4−5F
(村田内科クリニック上)
Tel 0823-23-4811
Fax 0823-23-4817


明窓園ギャラリー6年間のあしあと



 その翌朝、岡田社長はストレッチゃーでギャラリーを観覧した。見終えると、山本さんたちに「ありがとう」とつぶやき、「もう1つ最後のわがままを言わせてくれ。家に帰りたい」と言った。
「社長が久しぶりに帰宅されたとき、愛犬のメルが狂喜して社長にもぐりつきました。社長は最後にメルに会いたかったんですね。その翌日、自宅で亡くなられました」
 山本さんは、そのときのことを振り返りながら語る。


◆それから6年間の展示会開催件数は22回で、つぎのような作品を展示してきている。
・お雛さん
・五月人形
・全国郷土玩具
・涼を求めて/つくばい・ふうりん・盆景
・西洋人形
・博多人形
・布の手作り作品
・干支など招福人形
・その他


 最初の頃は岡田家のコレクション2000点の展示だけだったが、周囲からの強い要望もあり、やがて全国郷土作家の作品を展示し即売するようになった。

「作品を販売するため、明窓園ギャラリーを有限会社にし、創医社から独立させました。社長は岡田社長の奥様、担当者は私と木坂拓さんです。収益はすべて、これからの事業展開に使っています。実態的にはNPOなんですね。当時、まだNPOがなかったものですから有限会社にしたんです」


◆これからの展示会は、つぎのように計画されている。
○6月1日〜7日
 和・布・季節を楽しむ「ちりめん細工など手作り展」
 (昔の着物の展示・試着コーナーも設ける)
○10月1日〜8日
 大創作人形作家展(タイトルは未定)
 ビスク・陶塑・布などの人形100体を目標。
○12月
 全国福の神大集合展(毎年行っている)


「10月の大創作人形作家展は、広島では今までなかったものにしたいと意気込んでいます」
「展示会では、手に届く贅沢感を味わっていただきたいと思い、品格の高い作品をおいています。毎回、素人の手で飾り付けをしていますが、どうしたらお客様に喜んでいただけるか考えるのは楽しいですね」


「当ギャラリーは文化の交差点と呼んでいます。作家同士あるいは作家とお客さんの出会い・交流の場にしたいからです」
「郷土人形展の開催を通じて、いささかでも日本の文化・歴史を大切にし守ることができればと思っています」
 このようにアッっぽく語る山本恵由美さんの瞳は、きらきら輝いていた。


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