| 鍛冶屋とラーメン二人三脚 |
光勢聖治・和子夫妻
(みつせせいじ・かずこ)
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光勢聖治さん 60歳
鍛冶屋 創造
光勢和子さん 58歳
らーめん かんちゃん
広島市安佐南区緑井7-15-28
tel 082-877-6315
鍛冶屋 創造 工房
広島市安佐南区相田2丁目17-37
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広島市安佐南区緑井の住宅街に、鍛冶屋とラーメン屋をやっている仲の良い夫婦がいる。鍛冶屋は夫の光勢聖治(60歳)さん、ラーメン屋は妻の光勢和子さん(58歳)である。
鍛冶屋の名は「創造」。その名からも察せられるように、聖治さんの鍛冶屋へのこだわりと情熱は半端ではない。一方、奥さんが営業する「かんちゃん」のラーメンは、一度食べた人は口を揃えて美味しいと嘆声を発する。
この夫婦のいいところは、互に支え合い二人三脚で事業を営んでいることだ。以下お二人の仕事ぶりを紹介する。
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| 光勢聖治さんの作品 |

門扉 |

パーテーション
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ランプ
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テーブル
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◆光勢夫妻の生活と営業の根拠は、広島駅から車で30分ばかり離れた閑静な住宅街の一角にある。
光勢さん宅に着くと、車が4台置ける駐車場を前面に、向かって左側がらーめんかんちゃん、真ん中が住居、右側の庭が鉄工芸品の展示場になっていた。(展示場はこれから逐次充実する予定)
ご夫妻は、どちらも広島生まれの広島育ち。結婚したのは35年前ということだった。2人の性格は対照的で、主人の聖治さんがどちらかといえば内向的であるのに対し、奥さんの和子さんは外向的なタイプのようだった。
鍛冶屋の工房はどこにあるのかと尋ねると、車で15分くらいのところにあるとのこと。早速案内してもらった。工房は見晴らしの良い小高い山の中腹にあり、近くには猪が飼われている檻があった。
工房には、ガスバーナーや溶接機、グラインダーなど、たくさんの機器が置かれていた。
聖治さんがぽつりぽつりと語る。
「2ヶ月前にオープンしました。ここなら、少々大きな音を出してもかまわないので、安心して仕事ができます。朝から晩まで独りなので、いつも心がハイになるよう心がけています。作品は門扉・パーテーション・照明器具・テーブル・手すりなど、鉄でできるものは何でも手がけています」
◆聖治さんが鍛冶屋の仕事に入ったのは17歳のときで、それからずっと鉄一筋で生きてきた。
「17歳から2年間、鍛冶屋に奉公したんですが、軟らかくなった真っ赤な鉄が、いろいろな形をしたオリジナルな装飾品に変っていくのを見て、自分の生涯の仕事はこれだと思いました。こんなことがあってか、17歳のとき、父にお前には鉄しか能力がないといわれたんです」と若き日を回想する。
「29歳のとき独立して、鉄工所を作りました。主な仕事は、オリジナルな機械器具の製造でした。20年続けましたが、時代の移り変わりに限界を感じて工場を閉鎖、木工機・製材機・輸入機器を販売する沖機械(株)に入りました」
沖機械(株)での担務は、木工機・製材機等のアフターサービス部門のチーフで働き甲斐があったが、60歳になったとき、鍛冶屋という生涯の夢を実現するため、11年務めた会社を辞めた。
彼をここまでとりこにした鉄の魅力について訊ねると、つぎのように説明してくれた。
「鉄には、独特の重量感や温かみがあります。自由自在に扱えるということも魅力ですね。こんな鉄に魅せられて、45年間、鉄とともに生きてきました。ハンマーで足を叩き、骨折したこともあります。今ではそれも、なつかしい思い出になりました」
「鋳型で大量生産する鉄は一見硬そうですが、意外にもろいんです。それに、個性がなく味がありません。ハンマーで叩いてつくる鉄工芸品は頑丈だし、手作りだけに個性的で味わいもあります」
どんな仕事も、始める前が難しいといわれるが、鉄工芸品の製作も、そこが一番の悩みのようだ。
「作り出す前は、頭が痛いですね。どんなデザインにするか構想をたてるのに、ずいぶん時間を使います。鍛冶屋の仕事は、90%までは誰でもできます。問題は残りの10%です。ここで勝負がきまるんです。」
「ときに、お客さんから、できあがった作品について過分なお褒めの言葉をいただくことがあります。そんなときは、すごく嬉しいですね。気持ちがハイになり、これからも頑張ろうという気持ちになります。これからも身体の続く限り、ぬくもりのある良い作品をつくっていきたいと思っています」
◆ここで一転し、奥さんの和子さんに、ラーメンのことを聞く。
「ラーメンの作り方は、屋台をやっている主人の友人に教えてもらいました。その方は、主人に恩義を返すということで熱心に教えてくださいました」
「それからしばらくして、主人の鉄工所の片隅でラーメン屋を始めました。40歳のときのことです。4年間やりましたが、若いときにやる仕事ではないと思い止めました。一昨年の2月、再開したんです」
ラーメンはベーシックな醤油・トンコツ味で、たいへん美味しかった。スープはあっさりしているので、全部飲み干してしまった。
「コーヒーはサービスで出しています。忙しいときには出せませんが、これを楽しみにいらっしゃる方もあるので、できるだけ出すようにしています。コミユニケーションの場、出会いを楽しむ場にしたいと思っています」
◆コーヒーをサービスで出したり、生きがいで鍛冶屋をしたり、せちがらい今時、珍しいご夫婦である。
最後に、お二人の協力体制について聞いたら、奥さんからつぎのような言葉が返ってきて、思わずうなってしまった。
「主人は販売が苦手なので、注文をとって歩く営業をしていません。私がかんちゃんのお客さんに鍛冶屋のことを話し、見込みのありそうな方にお勧めしています」
「家内には鍛冶屋の販売だけでなく、機械に色を塗ったり、掃除をしたりネジ締めしたりすることまで、手伝ってもらっています。すごく助かっています」とご主人が補足すると、また奥さんが言葉を引き取った。
「主人には、お客さんが立て込んでいるとき、麺をあげるなど手伝ってもらっています。主人の作品ができ上がっていくのを見るのが、一番楽しみです」
それにしても、持ちつ持たれつの二人三脚の仕事ぶりはたいしたもの。お二人は、まさに夫婦善哉。これからのさらなるご発展を祈り、別れを告げた。
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らーめんかんちゃん
営業時間/17:00〜22:00(土曜日23:00まで)
定休日/日曜日・月曜日
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