| 音楽を通して子どもたちに夢を与えたい シンガーソングラター 保田隆さん
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演奏活動をしている造園業の人が建てたもので、音楽仲間が共用しており、保田隆さんのバンド(8人)も利用しているとのことだった。 保田さんは、どちらかといえば控え目な感じの人で、穏やかな笑みを浮かべながら言った。 「おとなしそうに見えても、議論を始めると止まらなくなるんです。とくに権力を振り回してくるような人には、見境なく向かっていくところがあります。友人から、世渡りが下手だとよく言われました」 ◆彼の現在の活動は、広島音楽高等学校アカデミー主事、RCCラジオ「保田隆のHeart Beatラジオ(毎週水曜日深夜24:30〜)」のパーソナリティ、それにシンガーソングライターと多彩。シンガーソングライターとして中学生の頃から作り始めたオリジナル曲は、300曲に達した。 この中で思い出深い曲は、教え子たちに贈った曲「坂の下の君に」で、今でも教え子たちの心の校歌として歌い継がれている。このほかに印象に残る曲は、暴走族少年が放送局に匿名で届けてきた歌詞に曲をつけたもので、その経緯についてつぎのように語る。
「送られてきた歌詞は1番と2番からなり、『暴走族をいつまでも続けたいとは思わないが、やりたいことが次第にせばめられていく』という趣旨のもので、正直言って甘ったれていると思いました。 このままで終わって欲しくないという思いで、『いつかはつかんでみせる。燃え上がる夢を!』という趣旨の3番を付け加え、歌ったんです。かなりの反響がありましたね。 なお、このことについては、中国新聞のトップ記事として掲載されました」 ◆彼は幼少の頃から音楽が好きだった。中学生のときには、浜田省吾の「路地裏の少年」に心を打たれる。大学時代には、YAMAHAボーカルオーディション、中村泰司主宰の音楽スクールのオーディションに合格した。 1987年、大学を卒業すると広島市内の私立高校社会科教師に就職したが、それからも演奏活動を続け、2001年6月には念願のプロミュージシャンとの初共演を果たし、同11月にはCDデビュー、「MY DEAR FRIENDS 親愛なる友へ」を発売した。 2002年9月には、15年務めた私立高校を退職する。いろいろ悩んだ上での決断だった。 今年の4月から、広島音楽高等学校の教師とラジオパーソナリティの仕事をするようになり、本格的なプロミュージシャンとしての一歩を踏み出した。 ◆これまでのことをふり返りながら語る。 「ぼくが、こうして音楽を続けてこれたのは、生徒から教えられたからです。音楽を続ける決心をさせてくれたのは子どもたちなんです。 かつて、子どもたちから、先生には夢があるのかとつきつけられました。このとき自分に夢がないことに気付いたのです。これではいけない。大人が夢をもって生きていないのに、子どもに夢が持てるはずがない。音楽という夢に向かって突き進んでいかなければならないと思いました。なぜなら自分の生き様をさらすことこそが、本当の教育だと思ったからです」 「今の子どもたちは、夢が持てなくなっています。『ぼくの夢は音楽だけど、プロと共演するのに20年もかかった。夢は必ずかなう。夢に向かって、毎日1ミリでも進もう』と、子どもたちに呼びかけています」
「今の子は、すぐに心を閉ざし内にこもります。ケンカもせず無気力です。会話ができず、人を信じることができません。こんなことで、家にひきこもる子は確実に増えています。学年に5〜10人はいるのではないでしょうか」 「親はビクビクするばかりで、子どもの示す危険サインを見落としています。それでも親かと、怒りを感じたことさえありました。生んだ以上、親の放棄はありえません」 「教師は、いくら努力してもダメだと溜息をつきながら、自分を納得させています。今の学校はよくなりようがありません。有名大学への入学率ばかり追っているんですから」 「子どもは親も選べないし、先生も選ぶことができないんです。大人が心を開かなければ、子どもの心はすさむばかりです」 ◆自分の人生哲学について、つぎのように語る。 「私立高校のとき、子どもたちにいつも言ってきたのは『道端の雑草たれ。踏まれでも踏まれても、また生え花をつける。その美しさがわかる子になれ』ということです。 校庭の雑草を一緒に抜きながら、雑草とチューリップはどちらがきれいかと問いかけると、多感な子は涙を溜めていました」 「分子に知識があり、分母に心があります。今は、分子ばかりが偏重され、分母が無視されています。心を育てることが忘れられているんです」 将来への夢を語る彼の目には、強い輝きがあった。 「心を病んでいる子どもたちを集めた学校をつくり、音楽と話し合いを通じて自立の援助をしていく。これは生涯の夢です。なお、夢のスタートが来年4月に実現できる予定になっています」 |
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