「省エネカーレース」の世界記録を塗り替えた
中根久典さん


中根久典さん 中根久典さん
40歳


FCデザイン
モノ作り推進協会



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◆広島に「省エネカーレース」で世界記録を塗り替えた男がいる。中根久典さん(40歳)だ。


 省エネカーレース(低燃費自動車レース)とは、決められた周回数を25km以上/hで走行、どれだけ少ない燃料で走れるか競うもの。省エネカーは普通乗用車に比較して抵抗が200分の1、エンジン熱効率が1.5倍に設計されている。


「1リットルのガソリンがあれば、時速25kmで6日間くらい(3600km)走り続けることができます。省エネカーは自分で作るので、材料費の300万円くらいでできますが、外注すると1500〜2000万円はかかるでしょう」
 中根さんは、淡々と説明する。


◆省エネカーレースに初めて彼が出場したのは、1984年の国内レースだつた。国際レースの出場はそれから8年後の1992年である。


 1996年、国内レースでの初優勝を果たした。その後、海外国際レースでも優勝し、2001年6月の世界最高峰フランス大会では、最大の強敵フランスチームを破り、ついに世界一の実力となった。さらに同年8月のスコットランド大会では、世界記録を塗り替えるという快挙を成し遂げる。2002年にはベルギー大会、イギリス大会でも優勝し、2000年のフインランド大会優勝から全ヨーロッパ5大会を連続優勝した。


 こんな輝かしい記録を残す中根さんにとって、一番の強烈な思い出は、フランス大会での優勝だった。


「日本人は器用だと言われますが、あれはウソです。
 フランス人のチームを初めて見たとき、本当に驚愕しました。空気抵抗の小さい美しいボディ。シンプルながらしっかりした機能を持つエンジン。彼等は自分が楽しむことなら何でもやります。日本の大手自動車会社のワークチームがいくらかかっていっても勝てなかったのがわかりました。それから彼等に懸命な挑戦を続けたんです」


「フランス大会は8回目の挑戦でした。初優勝が決まったとき、強豪フランスチームのメンバーが、ぼくらのチームを見て驚き、顔色がかわったんです。会場の何百人の人たちから大きな拍手が湧き起こりました。あのときのシーンは、未だに目に焼きついています」


◆中根さんは、1962年に愛知県に生まれ、神奈川県内の大学に進学する。卒研は省エネカーだった。1985年、(株)マツダに入社、ロータリーエンジンの設計に取り組み、エンジンの熱効率を一貫して担当した。また、自主活動で、省エネカーレースにも出場する。


 1998年、(株)マツダを退職、モーターサイクル関連商品を設計製造する「 FCデザイン」を設立、今年の秋には、「モノ作り推進協会」を設立した。


「経済大国となった日本には、モノづくりは金次第という風潮があります。これからは心のこもったモノ作りが大切だと思っています」


「ぼくの夢・ロマンは、1つには省エネカーレースで4000km/1リットルの記録をつくること、もう1つは、軽んじられてしまった日本のモノ作りがもっと評価される社会を実現することです」


「レースの優勝賞金はせいぜい10万円程度、これに対して経費はその十数倍です。この厳しい現実を乗り越えていかねばなりません」


 部屋の机の上や壁面などに、置かれたおびただしい器械・器具・工具・材料を見ながら、彼の「モノ作りとレース」にかける強烈な情熱を肌身に感じた。

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