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振り返ってみると、長い期間にわたり、「左右」という名のモノサシを手に世間を眺めてきたものだ。 道端の蔓草(つるくさ)を見ればその巻き方を確かめ、喫茶店ではコーヒーカップの取っ手の向きが気になり、デパートに行けば屋上に上がってメリーゴーラウンドの回転方向を観察し、旅先の神社では社殿にかかるしめ縄の両端を見比べる・・・。ざっと、こんな調子である。 さらに、書店に並ぶ本の背表紙に「左右」がうたってあるだけで、胸がざわつく。ついつい、なけなしの金をはたいてしまう。随分、無駄遣いをしたかもしれない。しかし、嗜好品に手を出すよりも安上がりと決め込んで、買い求めてきた。 病硬膏(やまいこうこう)とはこのことかと、われながら呆れつつも、「左右探求」を両脇に抱えて歩んできた道のりがなつかしく思われる。
これは、「暮らしのなかの左右学」の「はじめ」のなかの一文で、著者の「左右」への思い入れの深さが伝わってくる。好奇心と情報収集力も並々ならぬものがあり、各ページには、左右に関する詳細なデータが埋めつくされている。
本には、「興味にまかせて、その場で読みきってしまう本」と「辞書のように後から必要に応じて引いて見る本」の2種類があると思う。本書は後者で、単なる左右の話を、ここまで深く広く掘り下げた著者の力量に驚嘆した。
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暮らしのなかの左右学
小沢 康甫著 東京堂出版発行
2009年9月15日
初版発行 |