切り替えのおまじない
絵里香はあきらめるのは苦手だけど、切り替えるのは得意。
あきらめるのと、切り替えるのは違うと思う。
今までもいろんなところで切り替えてきた。
両親が離婚したときも、いきなり大阪に転校することになったときも、
大好きな大阪を離れて東京へ引越したときも。
目の前の現実だけを見つめてしまうと、寂しい。
これからつらいことばかり起こりそうな予感がする。
そんなときは、コインをひっくり返すように表と裏をうまく切り替えて
いけば、いいことばかりあるかも。
引きずっても意味がないものは、引きずってもムダ。
さっさと気持ちを切り替えて、表を見つけていくんだ。
とにかく、さっさと進んじゃう。
美容師の専門学校に行くことが、お金の問題で無理ってわかった
ときも、即、切り替え。
お金がなくても女優にはなれる。
自分の好きな人が自分を好きじゃないって知ったら、切り替え。
恋愛がすべてじゃないし。
旅行先でお金をスラれたときも、切り替え。
寄附したことにする。

そんなことを、「あのときにこうすればよかった!」って考えて、後悔して落ち込んでも意味がない。
なにかのせいにしても意味がない。
なにかのせいなんだって、考えれば考えるほど、ドロドロな感情にのまれるだけ。
もう、気持ちを切り替えるしかない。
切り替えは、あきらめるのとは違う。忘れるのとも違う。
前へ進み出すチャンス。絵里香には、過去に引きずったものがある。
ドロドロした嫌な感情が、心までドロドロにして、妬むことばかり考えたこともある。
もうそんな自分嫌や。「いかん、のまれるな」って自分に言う。
たくさん切り替えていくうちに、今じゃ、もう切り替えるのが得意に
なってきた。
手を叩いてパンッ!
手のひらを顔の前に出して、手の裏を表にひっくり返す。
「切り替え!」
絵里香の切り替えのおまじない。
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切り替えのおまじない
息をするように
岡田 絵里香著
KKベストセラーズ発行
発行所 キャップス
初版発行
2008.3.14
著者は聾(ろう)。
お父さんもお母さんも聾
だった。
学校へ行くと
思い切りいじめられた。
みんなに押さえつけられて
砂や草花を口の中に押し込まれたり、
画鋲を靴の中に入れられたり、
髪を切られたり・・・。
そのうえ、
お父さんとお母さんが
別居した。
そのとき、ホームレスになった。
それは離婚するまで続いた。
将来、女優になりたいというと、聾のくせにと笑われた。
それでもアルバイトをしながら、ついに念願の女優になった。
こんな
彼女は心の切り替えが得意になったという。
インパクトのある本である。いろいろなことを教わった。 |