中高年は「三かくで行け」(抜粋)
ー脳を活性化させるために心がけなければならないホイントは何でしょう。
もう20年ほど前のこと、僕は中年から老年に向かう午齢に差しかかってきました。脳味噌が固くなって、脳細胞が減っていく年齢になったわけです。
そこで考えました。
「ずうっと大脳生理学をやってきて、まだまだわからないこともいっぱいあるが、これは確かだとわかったこともある。その最たるものは、脳は刺激すれば神経細胞はみずみずしく働き、神経回路は生き生きと活躍し続けるということ。そのことを自分を使って実証していくのも学者としての役目になる。そのためには何を心がけなけれぱならないか」
そこで思いついたのが「三かく」運動です。
まず、「汗をかく」です。これは脳の縦の構造を活用する心がけです。体を動かすと、その刺激が脊髄から入って脳幹を通り、大脳辺縁体を経て大脳新皮質に達します。そのためには汗をかかねばなりません。
そこでジョギングやらマウンテンバイクやらに励むことにしたわけです。
二つ目は「恥をかく」です。
中高年には中高年年ならではの既成概念があります。いろいろと経験を積んで分別ができているというのもそうです。中高年は分別がついて訳知りで、そこそこ達観しているというイメージがあるものですから、中高年者はこの概念の中に収まっていなければいけないという抑制が働く。そこで、ちょっとおかしいと思うことには、ついもじもじと引っ込んでしまいます。
このように自分を閉じ込めていくことは、脳味噌を硬化させることになるんです。
考えてみると、この年まで生きてきたのだから、それなりの経験はありますが、だからといって分別などはとてもです。訳知りかというと、脳味階に関しては多少わかってはいますが、そのほかのことは何もわか
っちゃいません。まして達観など、遠い遠いはるかな彼方です。
では、どうすればいいか。覚悟を決めて恥をかくんです。ちょっとおかしいかなあと思っても、やりたいと思ったら遠慮せずにやる。みっともないことになって冷や汗をかいても、それも一つの刺激です。
言いたいことはズバッと言う。間違いを指摘されたら、なぜ間違ったのかを考え、方向を転換すればいい。意識して大いに恥をかこうと決めたわけです。
三つ目は「ものを書く」です。これは、言葉みがきですね。脳を使い働かせるには何といっても、言葉です。それも話し言葉よりは書き言葉のほうが、はるかに脳の神経細胞の刺激になります。
ものを書くのはコンヒュータやワープロでもできますが、やはり手書きの方がまさります。今はコンピュータやワープロで書くことが主流になってしまいました。それはスピードが早いこともありますが、何よりも楽だ
からです。漢字を考える必要がない。変換キーをぽんと押せば出てくる。こんな楽なことはない。人間は怠け者だから、どうしても楽なほうにいきます。
だが、ここで「三かく」の一つに「ものを書く」をことをあげたのは、脳を使い働かせて、脳を刺激することが目的です。より頭を使うには手書きです。では、何を書くか。僕が推奨するのはラブレターですね。
自分の思いを伝えなければならない。それも相手のハートにピーンと届くように書かねばなりません。嫌われては、元も子もないですからね。
ラブレターを書くときの脳味噌の活躍は大変なものです。それだけ刺激も大きくて脳味噌は生き生きしてきます。
僕は「汗をかく」「恥をかく」「ものを書く」の「三かく」を脳味噌の活性化のための心がけとしたわけで。効果があったかなかったか、自分では言えませんが、あまり年をとったという実感がありません。むしろ生き生きとした感じが日ごとに強まっているよに思います。
多くの人が□にする僕に対する印象は「若い」です。それが効果の証明ではないかと思っています。
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中高年は「三かくで行け」
人は脳なり
ー人間は脳によってのみ人間であるー
著者 大島 清
発行所 致知出版社
初版 平成13年12月
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