■技術は愛情、それが世界一になれた秘訣
五日市 実際にエステティシャンになられたのは何年前ですか?
今野 1998年に初めて美容の仕事をしました。それまではエステティシャンになろうとは思っていなかったんです。通信教育でエステティシャンの資格を取ったのも、今から5年前です。
五日市 では、キャリア的にはかなり短いわけですね。世界ナンバーワンということなので、学校を出て20代前半からいから始められたのかと思っていました、あまりにも短いので驚いています。
世界一になられたのは一昨年のことだそうですね。
今野 はい。ありがたいことに2004年の第1回LPGインターナショナルコンテスト(フェイシャル部門)で日本最優秀賞、次いでフランスで3ヶ月の審査があり、その結果、世界110カ国中、第1位の最優秀グランプリを受賞することができました。
五日市 短期間に世界一になられた秘訣を是非お聞きしたいですね。
今野 タイトルをいただいたとき、同じようなことを皆さんから聞かれました。その時に私は、「ベースの部分はどんな仕事でも、一緒でしょうけれど、技術は愛情です」とお答えしたんです。
五日市 技術は愛情ですか。
今野 皆さんは、「この人にはこういう技術が効く」とか「このパックはこうやる」という具体的なノウハウを期待していたらしいのですね。だから「技術は愛情です」と答えたときはすごく分かりにくかったようでした。
もちろん、シミ、皺など、お客さまによっていろいろな悩みがあると思いますが、私はまずその人たちの話をよく聞くようにしています。そうすると、「このシミが気になっていたけれど、別の部分に原因があるので、それをよくしなければシミはとれない」と分かってきます。
ですから、その人の話を十分聞いて、繊細な気持ちでしっかり肌を見て、総合的によくしてあげることが大事なんです。(中略)
五日市 なるほど、ということは、ポイントは、お客さまへの細やかな心遣い。お話しをしっかり聞いて、注意深く肌を見る繊細な気持ちにある、ということですね。これが世界一につながった。
今野 はい。これは私にとってはごく普通のことで、エステの技術とは相手を思う心が形になったものだと思っています。(中略)
私はモナコでの表彰式のついでに、パリヤスイス、イタリアを巡ってヨーロッパのエステがどんなものか体験しました。(中略)そのとき感じたことがあります。
五日市 それは何ですか?
今野 私が世界一ということではなく、日本の技術は最高ということです。
五日市 それはどういうことですか。
今野 例えば、こういうことがありました。あるサロンで実際の施術を受けたときのことです。「そのベッドに裸になりなさい」と言われて、そこに寝かされました。2月だったので、とても寒かったのです。施術を受けている間、ぶるぶる震えていました。寒いと訴えたのですが、彼女たちは何もしてくれませんでした。
(中略)
五日市 たまたまひどい人に出会ったのでは?
今野 そうかも知れません。ただ、私の経験では、どの国のサロンも似たようなものでした。例えば、高級サロンに行き最も上手と言われる人を指名したのですが、スチームをかけたまま私を放置していきました、そうしたらパッパットと熱湯がとんでくる。呼んでもだれもこないんです。こんなことは、日本では絶対にありません。
日本人は心が穏やかです。そして思いやりの心があります。それがこうしてあげたいという技術になるんです。
五日市 その細やかな気遣いというものはどこからくるんでしょえか。
今野 それは紅葉を愛でたり、色を識別したりするような、四季折々の変化に豊かに対応してきた日本人の心の反映なのではないかと思っています。四季の変化を感じる心、愛でる心が相手を思いやる情緒につながっているのではないかと。
日本人の感覚の微妙さは多分世界一だと思います。(以下略)
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運命を変える言葉
世界一の
エステティシャン
今野華都子さんに聞く
五日市剛の人間訪問
◇著者 五日市 剛
今野 華都子
◇発行 致知出版社
◇初版発行
平成18年11月
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