■いずれアメリカは三番手に落ちる
ポスト産業資本主義への移行の中でもう一つ大きな変化は、「欧米からアジアへ」という歴史の流れです。
19世紀初めまで、豊かな消費物資と発達した交易、それらのもたらす人口の集積と都市文化の発達によって世界の経済大国の地位を占めていたのはアジア、中でも中国とインドでした。しかし大量生産技術が発達すると、経済力は大規模な工業生産力に比例するようになり、産業革命に乗り遅れた両国は19世紀半ばから20世紀にかけて没落していくことになります。
言い換えれば産業資本主義の時代は、世界の中心がアジアからヨーロッパ、そして新興工業国であるアメリカへと移っていった時代であったのです。
しかしポスト産業資本主義の時代には、経済の世界勢力図は一変します。
ゴールドマン・サックス証券のインド人女性社員のルーパ・ブルショサーマンは2003年のいわゆるBRICsリポート(Dreaming with BRICs The Path to 2050 B=ブラジル R=ロシア I=インド C=中国)の中で、「2040年には中国がアメリカを抜いて世界最大の経済規模を持つようになり、またこのときにはインドも日本を抜いて第3位に入っているだろう」と予想しています。
私もまた彼女の予測が実現するだろうと考える者の1人です。最近の同証券のリポート(India,s Rising Growth Potential)では、インドはアメリカを抜き、2040年代半ばには世界第2位になっているとの見通しも報告されました。
資本が国境を越えて行き来する時代に入り、これらの国々では欧米や日本から流れ込む資金によって急速に工業化が進行しています。それは同時に雇用の増大と所得の増加をもたらし、欧米をしのぐ巨大な新市場が誕生しようとしています。
中国やインドなど人口10億人を超える巨大国家における中産市民階級の増加は、世界の購買力の中心を根底から変えてゆくでしょう。
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日本は没落する
◇著者 榊原英資
◇発行 朝日新聞社
◇初版発行
2007年12月
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