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広島に「広島友禅」の種を蒔きたい
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| 中村 ずいこさん |
| 女流友禅作家 |
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広島市内の繁華街・八丁堀から歩いて3分ばかりのところに、着物や和の小物を扱っている「ずいこ」という店がある。オーナーは女流友禅作家中村穂湖(なかむらずいこ)さん。友禅の制作・販売をするほか、手描き友禅体験教室を開いている。その他に、手広い店内を利用して、陶芸・刺繍・版画などの作家展や三味線・シャンソンなどを聴く会も開催している。
ずいこさんには壮大な夢がある。広島の地に、新たな文化「広島友禅」の種を蒔きたいという夢である。友禅には京友禅、加賀友禅、東京友禅がある。つまり全国で4番目の友禅を起こそうというのである。そのためには、長い歳月と多くの賛同者とたいへんな努力が必要であろう。ずいこさんに、心からのエールを送りたい。
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手描き友禅とは
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友禅とは、友禅糊を使って布の上に模様を描き出す染色技術の一つです。型を使って染める型友禅に対して、一つ一つ柄を手描きするのを手描き、もしくは手挿し友禅といいます。

大きな特色は、柄の輪郭を糸目糊(もち米とぬかと塩を混ぜたもの。現在はゴムで代用)で縁取ることによって、隣り合った色と色が混じり合わず、多彩な模様が描けることです。
誕生したのは江戸中期の元禄時代。当時、扇の絵師であった宮崎友禅斎が考案したとされています。糸目糊の考案によって、それまでなかった華やかで精緻な色柄の着物が作られ、たちまち大流行となりました。
今も友禅は、京友禅、加賀友禅、東京友禅があり、主に三つの産地で作られています。技法は変わりませんが、模様や色彩に、それぞれ独自の風合いがあります。
友禅には たくさんの工程があります。下絵を描いたり、糸目糊を置いたり、地染めをしたり、柄に色を挿したり、細かく分けるとその数は20にも及びます。京都ではそれぞれの工程に専門の職人さんがいて、分業されています。つまり京友禅はプロの技の結集なのです。
私は、柄に筆や刷毛を使って色を挿す、彩色の職人の世界で7年間、修業をしました。その後独立して、自分の考えたデザインに彩色を施し、オリジナルの着物を作っています。(ずいこ)
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お店の前で。 |

手描きするずいこさん |

完成した作品の前で。 |

店内を案内するずいこさん
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店内を案内するずいこさん |

手描き友禅体験教室の模様 |

手描き友禅体験教室の模様 |

手描き友禅着物
右 ずいこさん |
Q ずいこさんの名前の由来は?
ずいこ 本名は別にあります。「ずいこ」は友禅を習ったお師匠さんがつけてくださったものです。
Q まず、ずいこさんのルーツからお願いします。
ずいこ 京都市で生まれ、京都市で育ちました。舞台女優に憧れ、高校を卒業すると上京し某劇団養成所に入団しました。両親や周囲の人たちは猛反対で四面楚歌のなかの上京でした(笑)。
劇団養成所では張り切って勉強したんですが、なかなか目が出ず3年で演劇を断念しました。それから何かやりたいことを見つけようと思い東京に数年いました。
Q その間、いろいろ悩まれましたね。
ずいこ ある日、ふと気づいたんです。『努力もせずに、いろいろなことをあきらめている自分・・・。このままでは自分はダメになってしまう』
私は、もともと着物が好きでした。劇団にいるときも着物の舞台衣装ばかり増やしていました。『そうだ!自分には着物がある。着物の仕事をしよう』と思いつくと、すぐに京都に帰り、友禅師「国分直敏氏」の門に入りました。
Q 人生の転機でしたね。
ずいこ それからは、毎日、毎日、着物の柄を描き続けました。厳しい日々でしたが、7年過ぎたころ、師匠からもう独立してもよいと言われたんです。通常、一人前になるには10年かかると言われいたので、努力の甲斐があったと思いました。
Q それは嬉しかったことでしょう。
ずいこ すぐに、京都市下京区に工房をかまえ、独自制作の道に入りました。平成14年には、京都友禅組合競技大会で理事長賞をいただきました。
Q どんな作品を志向されてきましたか。
ずいこ 1つの柄を組み合わせていくことで、躍動感や自然のゆらぎなどを表現したいと思いました。そうして、着物の袖に手を通したとき、ふとやさしい気持ちになれるような着物を作りたいと思いました。
Q 着物は古くて堅苦しいといった風潮がありますね。
ずいこ そうなんです。そのため手書き友禅の世界も市場が縮小してきました。私が独立するとき、国分先生が本来ならお客さんをつけてあげたいのだが、昨今のような事情なので自分で市場を開拓してほしいと言われました。
Q 着物は高価というイメージが定着していますね。
ずいこ そうですね。着物は多くの技術や文化の結晶ともいえます。一度はまると、奥が深い着物道なんです。
Q これからどんな着物を作っていきたいと思われていますか?
ずいこ 新しいけど奇抜すぎない、かわいいけど品を失わない、そういった個性のある着物を追求したいと思っています。
Q なかなか味のある考え方ですね。話を変えて、広島に来られたのはいつからですか。
ずいこ 2009年、結婚したんです。両親はびっくりしましてね。もう結婚しないのかと思っていたそうです。主人は広島の人なので、当然、住むところは京都から広島に変わりました。そこで、京都の工房は閉鎖し、広島に「ずいこ」をオープンしたんです。
Q お目出度いことが続いたんですね。
ずいこ お店は今年の3月で3年目に入ります。
Q 新しい店で強調されたことは?
ずいこ 3つあります。1つは、一人ひとりのお客さまに、ご希望の柄や色で世界に1つしかない着物を作ってさしあげることです。もう1つは、流通形態の改革です。普通、私たち友禅師は制作だけをして、販売は問屋や呉服店に任せてきました。これでは、どうしても売値が高くなるので、「ずいこ」では、制作・販売を一貫して行うことにより売値を下げました。もう1つは店内の工房をオープンにし、手描きの工程がお客さまに見えるようにしました。少しでも、手描き友禅に親しみを持っていただければと思っています。
Q 今後の課題は?
ずいこ 後継者の問題です。問題解決の決め手は、お客さまの数を増やしていくことなので、地道な工夫を積み上げていきたいと思っています。
Q 将来の夢について語ってください。
ずいこ 友禅は1つの文化です。友禅は、京友禅、加賀友禅、東京友禅があり、主に三つの産地で作られています。広島の地に、特徴のある手書き友禅の種を蒔き、遠い将来には、広島友禅という文化を根付かせたいという夢のようなことを考えています。私ができることには限度があるので、賛同者の輪を広げていきたいと思っています。
Q 壮大な夢ですね。
ずいこ 夢の実現のためには、まずお客さまの数を増やし店の経営を良くしていかなければなりません。そのためには手描き友禅体験教室等を開催するなど、いろいろ楽しみながら全力をあげたいと思っています。
Q 今日はほんとうに楽しいお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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