
中西平三さん
|
|
中西平三(なかにし へいぞう)さん 68歳
仏師 泰鳳
木彫研究所
広島市南区皆実町三丁目5−21
tel 082−255−7252
携帯 090−7124−2850
|
作品→詳細
|
|
中西平三さんは、仏師(日本における、仏像などの制作を担当する者の名称)である。中西家は仏師一族で、父親の幸一さんは仏師として名を残した人だった。その生涯の一端が小学校の教科書「新しい生活」に掲載されている。父親の後を最初に継いだのは兄の さんで、その後平三さんがこれに加わった。
平三さんが仏師の道に入ったのは、広島市長性院の仁王像を手がけてからで、当時43歳だった。平三さんに仏師の仕事について伺った。
|
|
|
|
|
|
|

中西平三さん(弟) 中西 さん(兄) |

中西平三さん |

中西 (兄)さん
|

欄間 |

勢至菩薩像 観世音菩薩像 |

仁王像 |

山号閣 |

日蓮上人および釈迦如来
修理
|
| 作品→詳細 |
Q 中西さんのところは仏師一家ですね。まず最初に、お父さんの幸一さんのことからをお話しいただけませんか。
中西 父幸一は、腕利きの伝統工芸士で、昭和59年、勲七等青色桐葉賞の叙勲を受けました。昭和60年、71歳で亡くなった父は、生前、いつものように「仏師の仕事は今に衰退していくので、やらないほうがいい」と言っていました。そのため、3人の息子はみんな就職しました。
Q 後継者の指名はなかったんですか。
中西 そうです。それから長い歳月を経た後、次男の (たかし)が父の後継者になることを決意して会社を辞め、父が亡くなるまでの10年間、弟子入りをしました。
Q 中西さんは、いつ弟子入りされたんですか。
中西 私は兄より3つ年下の3男ですが、父が亡くなるまで、ついに弟子入りしませんでした。
父が亡くなったとき私は43歳でした。父の死を契機に一念発起、仏師の道に入ることを決意したんです。それから長性院の住職に勧められて、本堂の欄間、観音・勢至菩薩座像、仁王像と次々と彫刻していきました。仁王像の制作は、平成7年から4年の歳月を要しました。 これらの作品は、長性院に安置されています。
Q お父さんに習っていないのにすごいですね。
中西 小さいころから、親父が仕事をしているのを見て育ちましたから、いつの間にか影響を受けていたんですね。兄が助けてやると言いましたが、なんとしても自分の手で作りたいと思いがんばりました。京都や奈良の寺を巡り芸術的に名だたる仏像を見ながら、手探りで学びました。
Q 仁王像の作品は、被爆樹木で創られたとか・・・・。
中西 私は3歳のとき被爆しました。父も兄も被爆したのですが、家の下敷きになったりしてみんな奇跡的に助かりました。私は母に背負われて長性院に逃げ避難しました。そのときの恐ろしさは今も鮮明に覚えています。
長性院の楠木も被災しました。それを使って仁王像を作ってほしいと住職から依頼され、被爆樹木を材料に精魂を込めて彫刻しました。
Q 制作当時、まだ会社員だったそうですね。
中西 そうです。会社をひけてからの時間帯や土日祝日の全部を彫刻にあてました。徹夜することも、しょっちゅうでしたね。
Q その後の彫刻活動は?
中西 それからは、仏像の制作に加えて仏像の修復もしました。夢中で制作をしましたね。平成14年、60歳のとき、会社を退職してからは、本格的に取り組みました。仏像の制作・修復した数ははっきり記憶していませんが、50〜60になると思います。
Q どんな考え方で制作されていますか。
中西 仏像は奈良・平安・鎌倉時代に完成したと言われています。その形を忠実に伝承していくのが、現代の仏師の役割です。そのため好き勝手に作るわけにはいきません。決まりごとの中で、自分なりにいろいろ工夫しながら、自分の持ち味を出すわけで、たいへんやりがいがある仕事です。
Q ここの工房では、兄さんの さんといっしょに作っていらっしゃいますね。お二人の作品にはどんな特色がありますか。
中西 2人は一体になって作っています。ですから、これが兄の作品、これが私の作品と分けることができません。2人が共作を始めてから、はや20年過ぎました。
Q その間、時代も変化したでしょうね。
中西 中国の進出が著しいですね。中国は人件費が安いものですから、日本で作るよりはるかに安い値段で作品が作られます。そのため、われわれに対する受注量は激減しました。今では、古い仏像の修復を中心に仕事をしています。
Q 中国ではできないこともあるのでは?
中西 中国で作った仏像は、日本の気候に合わないため長持ちしないと言われます。そういう点からは、日本の樹木を使い日本の気候のなかで作るのが理想的なのですが、なにしろ、仏像は長持ちします。制作してから修繕まで100年もかかるのですから、中国製でいいということになるんです。
Q 本当に厳しい環境ですね。これからどんなことに力を入れて仕事をされますか。
中西 古い過疎地のお寺は、現在どんどん寂れ仏像が壊れています。そういうところへ出かけて、材料費だけいただぎ、ボランティアで仏像の修復をしていますが、今後とも続けていくつもりです。田舎のお寺が無残な姿で消えて行くのを見るのは残念ですものね。
こんな状況なので、今のところ後継者はいませんが、父から教えてもらった伝統工芸の灯を消さないよう努力していきたいと思っています。
Q とてもためになるお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
バックナンバー
|