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子どもたちとお年寄りに幸せを!
広島ボランティアグループ  そよかぜ
滝口満雄さん



左 登美子夫人  右 滝口満雄さん

滝口満雄さん(たきぐちみつお) 
81歳


広島市ボランティアグループ そよかぜ


〒733−0012
広島市西区中広町2丁目25番地19
TEL 082−291−2908



 世の中にはすごい人がいるものである。その名は広島市西区在住滝口満雄さん(81歳)。サラリーマンを定年退職してから20年間老人ホームを訪問し、自ら製作したおもちゃでお年寄りを楽しませている。また8年前から毎朝街頭にたち、小学生を対象にあいさつ運動を続けている。滝口さんは10年前、脳梗塞で倒れ右半身不随になった。こんなハンディを持ちながらのボランティア活動だから、まさに驚異的である。
 彼の悩みは後継者がいないこと。
「これから10年くらいはボランティアを続けられると思うけど、問題は運転免許の更新。車がなければ器材が運べません。100歳まで生きたいなあ!」
登美子夫人が笑いながら言った。
「私は歌が下手なので、初めのうちは関心がありませんでした。いつの間にか引き込まれたんです」


グループホームで入居者とゲームを興じる

 広島市西区にあるグループホーム己斐・みどりの家に行くと、10数人の入居者に囲まれた滝口さんがゲームの進行役を務めていた。
 滝口さんが自家製のボール発射器でボールをポンと打ち出すと、1人の入居者が網で受けとるというゲームである。彼の声は底抜けに明るくて大きい。
「入った。入ったぞ」と叫ぶと、入居者の目が輝いてくる。中には尻込みする人もいるが、自分の番がなかなか来ないと文句を言う人もいる。彼はそれらを上手になだめながら進行する。
 当日は2人の女子中学生が実習にきており、真剣に助手を務めていた。


  おもちゃの種類はどのくらいありますか。


滝口  
運動療法や音楽療法に役立つおもちゃを、数限りないぐらい作りました。現在、約20種類のおもちゃを交互に持ち出しています。お年寄りに喜ばれるのは、取扱いが簡単でやさしいものですね。


  老人ホームには毎日行かれているんですか。


滝口  
月曜日から金曜日まで毎日行っています。依頼があればどこにでもお伺いしたいんですが、もう予定がいっぱいなのでこれ以上は行けません。8ヵ所の老人ホームをぐるぐる回っています。


  いつ頃から、なさっていらっしゃいますか。


滝口  
サラリーマンを定年退職後、しばらくカラオケ教室をやっていました。その頃ちよっとしたきっかけで、老人ホームと縁ができました。それからですから20年経ちますね。


  お体も不自由なのにたいしたものですね。


滝口  
10年前、脳梗塞で倒れ右半身不随になりました。必死でリハビリに努めましたね。車がなければ器材を運べないので、身体が不自由でも運転できるように車両改造をしました。運転するときには、車間距離を充分にとるなど、人一倍安全運転に気をつけています。カラオケ教室は病気がきっかけで止めました。
 老人ホームに行くとお年寄りに、「わしも身体が不自由なのに頑張っている。あんたたちも頑張ろう」と言っています。


  こうしたゲームの他にも何かなさっていますか。


滝口  
カラオケ教室の経験を活かして演芸チームを作り、1ヶ月に1回、老人ホームで歌と踊りをやっています。童謡とか昔の演歌などが人気があります。舞台作りや衣装合わせに手間がかかるので、月1回が限度ですね。


  奥さんとはとても呼吸が合っていますね。


滝口  
家内と2人で一人前です(笑)。


8年間、街頭で小学生相手にあいさつ運動


 8年前から、滝口さんは朝7時半から8時半まで広島西社会保険事務所前の街頭に立ち、小学生を対象にあいさつ運動を続けている。それも土曜日・日曜日・夏休みなどの他はオール出勤というのだから、まさに超人的である。
 子どもたちの間では、毎朝縫いぐるみなどで変装し大声で話しかけてくる滝口さんがたいへんな人気者になっている。


  この運動を始められたきっかけは?


滝口  
かつて廿日市市で子ども誘拐事件がありました。そのとき、子どもを守ってやらなければいけないと思ったんです。それから、雨の日も風の日も休まず街頭に立っています。これから2月末までは寒さが厳しいですが、死ぬまでやるつもりです。


  いろいろな変装をなさるのですね。


滝口  
我が家には衣装がたくさんあるし、私も変装が大好きなので楽しみながらやっています。なにしろ子どもたちが大喜びですからね。


  街頭ではどんなことをなさっていますか。


滝口  
大きな声で、「お早う」とあいさつをします。街頭には「笑顔のあいさつキャンペーン」「早寝・早起き・朝御飯」と書いたプラカードを持って行っています。


  子どもたちと顔なじみができるでしょう。


滝口  
高校生になった子どもたちが、今でも私を覚えていて話しかけてくれます。嬉しいですね。


  元気な子、元気のない子、いろいろでしょうね。


滝口  
朝、叱られた子はしょんぼりしています。そんな子には意識して声をかけ励ましてやります。子どもや年寄りは励まし褒めること。ボロクソは絶対にいけません。


  子どもたちとの関係で一番大切にしていることは?


滝口  
子どもたちの目線に立つことだと思います。おかげで毎朝、子どもたちからエネルギーをもらっています。


滝口さんの家はまさにビックリハウス


 広島市西区にある滝口さん宅に行くと、滝口さんが玄関前でおもちゃの製作をしていた。棚には、空き瓶やなべなどで作られた、カラフルで大小様々なおもちゃが所狭しと並べられていた。


 家の中に入るとたくさんの衣装箱があり、その中には色とりどりの衣装が入っている。
 奥の部屋から、奥さんが大きなビニール袋を数個持ち出してきた。袋を開くと結婚式披露宴や成人式に着る、緑色や赤色、黒色など、豪華なドレスや着物が出てくる。
 こんなのを買うとすごくお金がかかるだろうと、目を白黒させていると、全部貰い物だと説明があった。近所の人たちが噂を聞いて、「もう不要になった衣装だが、お役にたてば」と持ち込むのだそうである。

 
 滝口さんがビデオを見せてくれた。老人ホームで、演芸チームが歌や踊りを披露しているもので、観客のお年寄りも楽しそうだった。こんなビデオは山ほどあるとのこと。滝口さんの家はつくづくビックリハウスだと思った。


  このおもちゃの量には驚きましたね。しかも、いろいろ工夫されており感心しました。


滝口  
素材は、ほとんど拾ってくるんです。鉄砲などは落ちていないので買いますがね。右手が不自由なので、左手だけで作っています。いつも、何かいいヒントがないか考えています。おもちゃが増えて置き場がなくなると、老人会に差し上げています。


  衣装の数がすごいですね。しかもみんなデラックス!


滝口  
我が家はまるで物置です(笑)。約30人いる演芸チームは、演歌・民謡・踊りの出演者の他、プロデューサーや照明、運搬などいろいろな人たちで構成されています。
 出演する前には我が家で衣装合わせをします。自前の衣装を持っている人もいますが、持っていない人も多いので我が家のストックはたいへん喜ばれています。


  こんなのを着て、舞台にたつと華やかでしょうね。


滝口  
演芸が終わり出演者が衣装を着替えて出てくると、「なんだ。普通のおばさんじゃあないの」と言われます(笑)。ドレスや着物を着ると、うんと若返りますからね。


  滝口さんは出場しないのですか。


滝口  
昔は出ていましたが、今はもっぱらプロデューサー役です。歌手はイキイキ、お年寄りは喜び、プロデューサーも生き甲斐を感じる。楽しいですね。


  このたびは、とても楽しいお話を聞かせていただきありがとうございました。







<グループホームにて>


ボールを打ち出す滝口さん

ゲームを楽しむ入居者




<朝のあいさつ運動>

子どもたちとあいさつ

子どもたちと楽しむ滝口さん




<滝口さんのお家で>

玄関前のおもちゃ工作所

左手だけで作業

空き瓶・なべ、なんでもあり

いろいろな縫いぐるみ

こんなところに衣装がいっぱい

このドレスも貰い物

豪華なドレスの半分は
滝口さんのストックから
2009.12.9/戸村彰義・三笹雅代
    


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