| 30年先には草笛の人間国宝になりたい |
草笛演奏家
岡内章二郎さん
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草笛演奏家・岡内章二郎さんは、3年前に東京都文化振興部の草笛ライセンスを取得した。全国に草笛演奏家は多いが、このライセンス取得者は今のところ岡内さんだけだそうだ。今年の演奏会回数はすでに200回。それに加えて、毎晩家の近くの公園で4時間練習するという。将来の夢を聞くと、「30年先(86歳)には人間国宝になりたい」。こんなスケールの桁外れな岡内さんにインタビューした。
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新幹線で運ぶこともある
被爆ベンジャミン |

被爆ベンジャミンで演奏−1
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被爆ベンジャミンで演奏−2
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被爆ベンジャミンとは?
岡内さんのお父さんが大切にしていたベンジャミンが原爆で枯れた。お父さんは再び芽を出させようと努力したが、その甲斐なく亡くなった。岡内さんはお父さんの遺志を引き継ぎ懸命に世話をしていたところ、被爆後62年目にベンジャミンは芽を出した。
岡内さんは被爆ベンジャミンと呼び、鉢ごと抱え葉に唇をあて演奏、東京へ行くときも鉢を抱えて新幹線に乗っている。
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Q 「被爆ベンジャミン」で演奏されているとのことですが、この経緯などについてお話しください。
岡内 かつて父が大切に育てていた6鉢のベンジャミンが、原爆でみんなまる焦げになりました。それから父はあきらめずに毎日水やりしていましたが、12年後、芽を見ることなく亡くなってしまいました。
そこで私がその遺志を引き継ぎ水をやっていたところ、昨年6鉢とも芽が出ました。父が亡くなってから50年目、被爆後62年目のことでした。そのうち3鉢は昨年枯れてしまいましたか、今3鉢残っています。
これを被爆ベンジャミンと呼び、例えば東京の演奏会に行くときには新幹線で運び、鉢を抱えて演奏しています。こんなことで、平和と原爆には特別なこだわりがあります。
Q そういえば昨年は、岡内さんがプロの草笛演奏家として独り立ちされた年ですね。これも因縁でしょうか。
岡内 因縁かも知れませんね。亡き父の遺志を感じます。
Q 岡内さんはどこで生まれ育ちましたか。
岡内 1951年、広島県坂町小屋浦で生まれました。35歳のとき結婚、それからは山口県和木町にずっと住んでいます。岩国市の近くで、広島市から車で1時間くらいのところです。
45歳のときがピンチでしたね。胃がんになり、85キログラムの体重が48キログラムまで落ちました。第3期で絶望と言われましたが、健康食品キッチンキトサンを飲んでいるうちに自然に治癒しました。
Q それは奇跡でしたね。岡内さんには残された仕事があったのでしょう。ところで、草笛との出会いは?
岡内 5歳くらいのときから草笛を吹いていました。ある日、父にバイオリンを買ってくれと言ったら、「お金がない。草笛でも吹け」と1枚の葉っぱを手渡されたんです。それからずっと興味本位で草笛を吹いていました。
そんな私に転機が訪れたのは、18歳のときロサンゼルスの公園で巨木を見ていたときのことでした。自然の雄大な姿に心を打たれ、こんな木の葉を吹き最高の音を出したいと思いました。草笛への断ちがたい愛着が湧いてきたんです。
それから3年後、都山流尺八指導者・人間国宝の故島原帆山が、私の草笛の音色を認めてくださいました。ものすごく嬉しかったですね。それが縁となり、草笛演奏者になろうと決心しました。
Q その後も、いろいろな人とのご縁があったことでしょう。
岡内 広島県草笛愛好会や信州草笛会、関東草笛会に入りました。事情があって広島県草笛愛好会は15年後に退会しましたが、たくさんの人との出会いがありました。その他にも随分多くの方々とご縁がありご援助・ご指導を頂いています。
そのご縁の一環として、2年前、東京都文化振興部の草笛ライセンスを取得しました。このライセンスは難しいため、今のところ草笛ライセンス取得者は全国で私しかいません。運が良かったと思っています。
その他にも、東久邇宮記念章、音楽フェスティバル審査員特別賞と思いがけない賞を頂き、今年の秋には東久邇宮文化褒章を受賞する予定になっております。これも皆様とのご縁のたまものと思っています。
Q 岡内さんのご努力も並々ならぬものがあると伺っています。毎日、どのくらい練習されていますか。

草笛になるいろいろな葉
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草笛の吹き方
<葉の選び方>
○薄くて柔かい葉。
○しなやかで弾力性のある葉。
○唇より少し大きく楕円形。
○周囲にぎざぎざがない。
<音の出し方>
@葉を水で濡らす。
A葉を両指で軽く引っ張り、上の方を
外側に曲げる。
B葉の下から空気が漏れないよう、
下唇にピタリとくっつける。
C上唇に葉先があたるようにする。
D頬をふくらませず、口の周りの筋肉を
引き締め、スイカの種を吹き飛ばす
ように強く吹く。
E葉先が震えて音が出る。ドレミファの
音を調整する。 |
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岡内 家の近くの公園で、毎晩4時間くらい練習しています。頬が痛くなり、唇から血が出てきます。その壁を越えて練習していると、いつも身体の中から感動が湧いてきます。
このほかに、広島市植物公園、広島市森林公園、広島市安佐動物公園でも練習しています。豊かな自然の中で草笛を吹いていると、つくづく草笛は生きている楽器だと思います。
Q 年間、どのくらいコンサートを開かれていますか。
岡内 昨年の演奏会回数は140回、今年は現在時点で200回を超えました。病院や老人ホーム、身体障害者の施設、婦人会、消費者の会、地域起こしの会などに出かけています。
Q 岡内さんのレパートリーは?
岡内 約1500曲です。「故郷」などの唱歌から童謡、歌謡曲、軍歌、アニメソングなど、様々なジャンルの曲を演奏します。
Q 岡内さんの草笛の音はすごく音量がありますが、どのくらい遠くまで聞こえますか。
岡内 体調が良いときには、約1キロメートル先まで届きます。
Q すごいですね。草笛の音を出すのはたいへん難しいと聞きます。どのくらい練習すればなんとか出るようになりますか。
岡内 通常1日か2日、練習すれば出るようになります。薄くて柔かく弾力性のある葉がいいですね。例えば、オオバコ、ツユクサ、オシロイバナなどです。縁(ふち)にぎざぎざのない楕円形の葉で毒性のないものを選びましょう。初めは柔かい葉から始め、だんだん固い葉に挑戦すればよいと思います。
音の出し方については、右の表を参考にしてください。
Q 曲の練習方法は?
岡内 高い音は、葉に唇を強く押しあてて、息を上向きに強く吹くと出ます。低い音は、葉に唇を軽くあてて、息を下向きに弱く吹いてみてください。曲は自然に吹いていると、いつのまにか演奏できるようになります。毎日、5分くらいでもいいですから練習していると必ず上達します。
Q 最後に、これからの抱負・夢についてお話しください。
岡内 30年先には、草笛の人間国宝になりたいと思っています。草笛の発祥地が中国ということからか、韓国・中国には草笛の人間国宝がいると聞いていますが、日本では草笛が楽器として認められていないため人間国宝がいません。
昔の日本では草笛が親しまれていましたが、いろいろな楽器の普及にともない習得に根気のいる草笛は退潮していきました。楽器の原点ともいえる草笛の素朴な音色を世の中に紹介し、再び楽器として認知されるよう、これからも地道に努力していきたいと思っています。
Q 30年先の岡内さんはまだ86歳(笑)。ぜひ人間国宝に挑戦してください。今日はとても楽しいお話を伺い有難うございました。いつまでもお元気で夢を実現してください。
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岡内章二郎さんのプロフイール
<受賞記録>
| 2008年11月 |
東久邇宮文化褒章受賞 |
| 2007年8月 |
音楽フェスティバル審査員特別賞受賞 |
| 2007年7月 |
東久邇宮記念章受賞 |
| 2005年9月 |
東京都文化振興部の草笛ライセンスを取得 |
| 2004年11月 |
日本善行会(内閣府所管・総理府所管)受賞 |
<略歴>
| 2007年11月 |
広島県草笛愛好会退会、プロとして独立。 |
| 2007年6月 |
関東草笛会会員 |
| 2007年6月 |
日本音楽療法学会会員 |
| 2006年3月 |
広陵高等学校草笛音楽吹奏楽部指導。 |
2006年9月
2005年9月 |
日野原重明先生の新老人会で草笛演奏。 |
2006年12月
2005年12月 |
山階鳥類研究所で草笛演奏。秋篠宮文仁殿下前にて。 |
| 2002年2月 |
信州草笛会会員 |
| 1993年3月 |
広島県草笛愛好会会員 |
| 1972年4月 |
都山流尺八指導者・人間国宝 故島原帆山に音色を認められ
草笛演奏者となる。 |
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| 2008.9.19 戸村彰義 |
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