| 600年の伝統ある能楽を次世代に引き継ぎたい |
能楽師 吉田篤史さん
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| 能楽師・吉田篤史さんは、プロとして演能活動に全力尽くす傍ら、600年以上の歴史を持つ能楽を次世代に引き継ぎたいと東奔西走、昼夜を問わず努力している。そこまで吉田さんを駆り立てる能楽とはどんなものか、その魅力などについて伺った。 |
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2001年の独立記念に
お父さんの吉田潔司さんと共演
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右 お父さんの吉田潔司さん
左 吉田篤史さん
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左 お父さんの吉田潔司さん
重要無形文化財能楽(総合指定)保持者
シテ方観世流準職分
右 吉田篤史さん 長男の和史くん
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Q まず最初に、能楽とはどんなものか、簡単に説明してください。
吉田 能楽とは能と狂言を併せていう用語で、明治以後、一般に用いられるようなりました。能楽は日本の代表的な古典的楽劇の一つです。 登場人物の所作は細かく様式化され、言葉や節回しは室町時代の様式を残しています。
Q 能と狂言の違いについて。
吉田 能と狂言の一番大きな違いは、物語の構成です。能がシリアスな物語を主体とした劇であるのに対し、狂言は喜劇です。
昔、能楽は1日5番立てで行われていました。1演目が1時間から2時間かかりますから、ほとんど朝から晩まで演じられていたことになります。
いくら好きでも、シリアスな内容がそんなに長く続いたのでは、精魂尽きてしまいます。そこで1演目と1演目の間に狂言を挟み、お客様の緊張度を解いてから新たなシリアス劇に入るというようになりました。
こうして、能と狂言は不離一体のものとして発展してきたわけです。ちなみに巷でいう狂言師の正式名称は、能楽師狂言方です。
Q 能楽の魅力はどこにあるのでしょうか。
吉田 能楽は歌舞劇です。演者(シテ)のソロである謡と、笛・小鼓・大鼓・太鼓の楽器による演奏と、コーラスである地謡とが絶妙なハーモニーを奏でます。
能楽は仮面劇でもあります。仮面をつけることによって、演者は登場人物になりきることができます。仮面は一つの表情しか持ちませんが、演者の動きや姿勢によって笑いも悲嘆も表すことができるのです。
能楽は象徴劇でもあります。演者の動きは一見緩慢に見えますが、実はそのひとつひとつに、様々な想いが込められています。そのため、言葉のわからない外国人にも感情が伝わり、外国公演でも絶賛されています。
Q 能楽は本番前に1回しか申し合わせをしないとか・・・。
吉田 いきなり本番です。しかも、シテ方、ワキ方、囃子方、それぞれ流派が違うのです。他の芸能には見られないことですね。600年の歴史と、能楽師の日頃からの研鑽の賜物です。
Q まさに、能楽は世界に誇れる芸術ですね。しかし、一般に能楽は難しいという先入観念があります。どうすれば、能楽がわかるようになるのでしょうか。
吉田 能楽は、決してわからない芸能ではありません。例えばオペラなんか、原語で歌われても皆さんは感激していらっしゃいます。能楽の場合は、昔の言葉とは言え日本語です。数多く聞けば必ずわかるようになります。かりに言葉は通じなくても、心で触れ合うことができます。
能楽を見る前に、物語のあらすじなどについて把握しておくのもよいのではないでしょうか。能面や装束あるいは楽器などについて知識を身につけておくことも、能楽を楽しむ手段になります。

広島稽古場でのひとこま
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仕舞の指導
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謡の指導
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広島稽古場
広島県安芸郡府中町浜田1丁目S様宅
月2回 16:00〜21:00
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Q どんな芸事も努力すればするほど、良さがわかってくるといわれますが、能楽の場合、特に事前の勉強が必要かも知れませんね。
続いて、吉田さんの生い立ちや能楽との出合いなどについてお話ください。
吉田 私は1974(昭和49)年生まれ、33歳です。幼少のときより京都・井上嘉介師、祖父の吉田佳弘、父の吉田潔司に師事しました。初舞台は3歳のときで、「鞍馬天狗」を演じました。
大学3年生のとき中退して、7年間井上師の内弟子として修業しましたが、このときはきつかったですね。それまで甘やかされてきましたから・・・・(笑)。
Q プロとして立とうと決心されたのはいつですか。
吉田 父から、「能楽で生計を立てるのはたいへんだ。大学を卒業したら、他の仕事についてもよい」といわれましてね。それなら生計がたつようにしてみようと反骨心がもたげてきたんです。それで気持ちが振り切れて、プロを目指すことにしました。27歳のとき、準職分を取得し独立しましたが、そのときは嬉しかったですね。
Q これからの抱負は?
吉田 世界中に文化はたくさんあります。しかし、無形文化ということになると、日本には何百年と続く伝統があります。能楽・文楽・歌舞伎が世界無形遺産に登録されたのも、こうした先人から引き継がれてきた無形文化があったからこそと思います。
能楽は650年もの長きにわたって、先人によって引き継がれてきましたが、私の祖父も父も先人の1人として努力して参りました。私も祖父・父の志を継いで、この文化の伝承に全力を尽くしていきたいと思っています。できれば息子に引き継ぎたいですね(笑)。
私は人の縁に恵まれて、たくさんの方々に支えられています。こうした方々のご期待に応えるためにも懸命に精進したいと思っています。
最後に、広島の稽古場の充実は父の悲願でもありました。今年の最重点課題の一つとして取り組んで参ります。
Q 今日は、たいへん、いいお話を聞かせていただきありがとうございました。
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吉田篤史さんの略歴
シテ方観世流準職分 1974(昭和49)年
2月22日生
・幼少より京都・井上嘉介師、祖父 吉田佳弘・父 潔司に師事。
・3歳「鞍馬天狗」花見にて初舞台。
・同志社香里中・高へ進学、同志社大学在学中に井上師の内弟子として修行。
・平成13年に準職分を取得し、独立。
・石橋・乱・千歳を開曲。
・吉田嘉謡社副社主として、平成4年より京都で「花の能」を自主公演する等の演能活動
を展開。
一方、京都府各所(京都、向日、南丹)・岐阜県各所(大垣、瑞穂、岐阜)、広島市に稽古
場を持って謡曲・仕舞の指導を行っている。
・毎年5月の「尾道薪能」ではシテ(主役)を務めている。
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2008.2.4/戸村彰義 |
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