伝統工芸・本渋一閑張(ほんしぶいっかんばり)を
次世代に引き継ぎたい |
本渋一閑張作家 宇野雄三さん
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| 山本恵由美の明窓園シリーズ第7回 |
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| 600年前から日本にあった「一閑張り」を現代に復活させ芸術にまで高めた宇野雄三さんは、今もその伝統を守り続けている。一閑張とは何か、その魅力はどこにあるのかなどについて伺った。 |
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右 宇野雄三さん
左 山本恵由美さん |

明窓園に展示された一閑張作品
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山本 宇野先生には、明窓園ギャラリーがオープンして間もなくご縁をいただいていますが、シックで重厚、それにおしゃれな作品は、いつもお客様の目を引いています。まず最初に、一閑張とはどんなものかお話しください。
宇野 昔は、生活用品がこわれてもすぐには入手できませんでした。これに備えるため、生活の智恵として考え出されたのが、一閑張による生活用品の補修です。
一閑張の工程を簡単にいうと、
1 使い傷みのはげしい生活用品に古い和紙を貼り重ねる。
2 防水の役目をする柿渋を塗って補強する。
3 夜干しや陰干しをする。
4 木綿布で磨きをかる。
このように物をいつくしむ一閑張の技術は、600年もの間脈々として引き継がれ今日にいたっています。
山本 一閑張の言葉の謂われは?
宇野 日常品の補修ですから、費用や手間は考えず閑(ひま)にまかせて仕事をしてきました。いわば『一つの閑に張る』というやり方で仕事をしてきたので、一閑張と呼ばれるようになったとのことです。
山本 一閑張の魅力はどんなところにあるのでしょうか。
宇野 手触りがよく、深い味わいがあって飽きがきません。育ちとか家柄、歴史が偲ばれるような雰囲気があります。
それに軽くて丈夫なことですね。熱湯がかかっても水に濡れても変化しないので、お掃除も安心してできます。汚れや傷などが目立ちにくいという長所もあります。
一閑張は多種多様で、照明器具、かご類、すずり箱、額、机、箪笥など、その数は500種を超えます。

左 一閑張された机
右 一閑張される前の机
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宇野雄三さんの作品が
下記展示会に出展されます。
「女のまつり・全国お雛展」
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2月18日〜25日 |
| 場所 |
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郷土人形館
明窓園ギャラリー
広島県呉市 |
| 詳細→ |
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山本 宇野先生が、一閑張に出会われてからのことについてお聞かせください。
宇野 私は1940年生まれで現在68歳になりますが、若い頃までは彫刻をやっていました。個展も開いたことがあります。
そんな人生が変わったのは23歳のときのことでした。和田邦坊画伯とデザイン知事として知られた金子正則県知事に一閑張を強く勧められたのです。それが契機となり、一閑張に本格的に足を踏み入れました。
当時は、戦後間もなく登場したビニールのため、効率の悪い一閑張はすたれてしまい、一閑張の技術者はいなくなっていたのです。
そこで、昔作られた一閑張作品をこわしては復元するという作業をこつこつと繰り返しました。5年を過ぎた頃、ようやく感触がつかめ、15年過ぎた頃、昔のものを正確に再現できるようになりました。
山本 先生の作品は、粗大ゴミで捨てられようとしていた古い家具にはとても見えません。まさに息を吹き返し蘇った再生家具ですね。先生は、4年くらい前、新品中心の製作から再生家具中心の製作へ切り替えられたと聞いています。どんな考えで創っていらっしゃるのでしょうか。
宇野 物にはすべて役目があります。役目を果たすには心が必要です。物を壊さない、物を捨てないということは、人の心を傷つけない、痛めないということにつながります。
昔の人は、物を大切にし修理して使ってきました。これは日本の伝統文化だったのです。
先祖や親が使ってきた家具は簡単に捨てないで、もう一度命を与えてほしいと思います。修理して使うと、心が温かく豊かになります。子どもはそれを見て育ちます。
山本 作品創りにあたって一番心がけられていることは?
宇野 売ってやろう、儲けてやろうと思わないことですね。そんな気持ちで創ると、いい物はできません。お客様が使って気持ちが良くなる物を創りたいと思っています。
山本 今後の抱負は?
宇野 後継者を育てることです。今のままでいくと、一閑張は私一代で絶えてしまいます。ヤル気のある人なら、きっと立派な技術者になります。高給を支払うことはできませんが、技術については無料で伝授します。
大儲けはできないけど、そこそこには収入のある仕事です。やってみようと思う方は、ぜひご連絡ください。
山本 今日は、たいへんためになるお話を聞かせていただき、ほんとうにありがとうございました。
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2008.1.16/戸村彰義 |
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